１５００年以上前の伝統技術が継承されている社寺建築。その伝統建築にも、構造体や設備の老朽化、今後起こりうる災害への対策、バリアフリーや環境問題への対策など様々な視点から対応しなければいけない。詳細な現状調査を踏まえ、これからの１００年を見据えたトータルプロデュースを提案した。

今回は建立時の図面が残されていなかったため、図面を描き起こす作業からはじまった。当社が今まで培ってきた伝統技法、仕口、継手、木材などあらゆる知識を駆使して復元。施工手順を仮想空間にイメージしつつ、同時に素材の経年劣化や弱点を見極め、解体作業をはじめた。見えない部位にも補強を施し、原型を崩すことなく内面から蘇らせることに成功した。優れた大工技術で時間をかけ丁寧に化粧ベースをおこない、現代建築の要素も取り入れ、一層の趣を感じられる風格に仕上がった。